詩森ろば 作・演出「アンネの日」はすべての女性の物語だった

ただ今、下北沢ザ・スズナリで上演中の舞台「アンネの日」の初日(上演期間:1月12日~21日)にライムライムのスタッフ全員と家族で観に行きました。スタッフ全員がとても感動したので、今回は「アンネの日」をご紹介したいと思います。


■詩森ろば 作・演出「アンネの日」あらすじ
「アンネの日」は生理用品の女性開発者たちが、社内コンペ「大人の自由研究」のために、身体によい自然素材のナプキンを作ろうと奮闘するなかで、お互いの人生に触れ、自分の人生を抱きしめる詩森ろばの代表作です。初潮から閉経まで、生理に泣いて生理に笑う、おんなのこころをせきららかつチャーミングに描きます。(serial number 公式サイトより引用)


■「アンネの日」のタイトルになったモチーフ
お芝居のタイトル、「アンネの日」。これはライムライムのInstagramでも取り上げたことのある、日本で初めての使い捨て生理用ナプキン「アンネナプキン」がモチーフです。アンネナプキンを生んだのは、1961年当時27歳だった坂井泰子。その頃は、大多数の女性が脱脂綿と月経帯を使っていました。

坂井泰子は、かの有名な『アンネの日記』で「生理があるたびに、面倒くさいし、不愉快だし、鬱陶しいににもかかわらず、甘美な秘密を持っているような気がします」と生理を”肯定的に”記した少女アンネの心情に共鳴し、「アンネナプキン」と命名しました。

そして、アンネナプキンは「40年間お待たせしました」というキャッチコピーとともに登場。なぜなら、1920年頃に既に使い捨てナプキンがアメリカで登場していたのに、日本は40年遅れで発売されたから。それはなぜなのかーー。

生理が“穢れ”としてタブー視され、女性の健康が常に後回しされてきた歴史が背景にあるのではないでしょうか。そんな日本の時代背景で、画期的な使い捨て生理用ナプキンが“若い女性”、坂井泰子により生まれたのです。


■生理の体験はそれぞれ違うからこそ、「アンネの日」はすべての女性の物語
アンネナプキンの話は「アンネの日」の物語に直接は関係ありませんが、アンネナプキンが誕生した1960年代前半から現代にいたるまで、日本女性の社会的地位はどの程度進化してきたのでしょうかーー。

本作は、8人の女性がそれぞれの初潮・PMS・閉経経験を語ることで、生理という現象がひとり一人違うのと同様に、女性の生き方もそれぞれに異なることを物語ります。つまり、「アンネの日」はすべての女性の物語だと言えるでしょう。

性教育の欠如、生理の貧困、男女格差やセクシュアルマイノリティに対する差別など様々な社会問題を描きながらも、人間の多様性を尊重するユーモアと愛が根底に流れているハートフルな本作。ライムライムのスタッフも笑いながら、最後には感動で目頭をハンカチで押さえていました。



【公演概要】
2024年1月12日(金)~21日(日)

【会場】下北沢ザ・スズナリ
東京都世田谷区北沢1-45-15

●cast●(50音順)
 伊藤弘子(流山児事務所)
 葛木英
 真田怜臣
 ザンヨウコ
 橘未佐子
 林田麻里
 瑞生桜子
 李千鶴

公式サイト「serial number 10 アンネの日