サニタリー用品と環境課題
持続可能な地球のために、生理用品にも「脱プラ」の流れがあるグローバル
環境分野で初のノーベル平和賞を受賞したケニア人女性、ワンガリ・マータイさんが「Mottainai(もったいない)」という言葉を世界に提唱し、様々な取り組みが行われてこの美しい日本語が注目を浴びました。
実際は、ゴミ焼却率が世界一という日本(※1)。なぜ、こんなことが起っているのでしょうか?
■日本はゴミ焼却率が世界一の理由
OECD諸国では、家庭からでる生ごみや落ち葉、下水汚泥などの有機物を微生物の働きを活用して発酵・分解させ堆肥を作る「コンポスト」が一般化されており、自治体が家庭の生ごみをまとめてコンポスト場に集積して処理したり、自宅にコンポストを備える家庭もあったりします。
一方、日本では生ごみを「可熱ごみ」として”焼やす”のを前提とし、自治体単位で生ごみを高温焼却しています。実は、高温焼却炉に、水分が含まれた生ごみを入れると温度が低くなり、生ごみが燃えにくくなることに。そのため、溶けると油になり火になるプラスチック製品も「可熱ごみ」として燃やす焼却炉もあるぐらいなのです。
プラスチック製品は二酸化炭素を排出するので地球温暖化を促進してしまうのは、みなさんもご存じですよね。
■生理用品にもプラスチックを規制し始めたグローバル
地球温暖化の原因となるプラスチック。加えて、プラスチックは環境汚染、特に海洋汚染の一因ともなっています。ヨーロッパのビーチでは生理用品のプラスチック部分が海洋ごみの第5位にランクインするそう(1位 ドリンクボトル、2位 タバコの吸い殻、3位 綿棒のスティック部分、4位 菓子袋、6位 レジ袋)(※2)。
そもそも、従来の生理用品はおよそ9割がプラスチック素材でできており、土に還るのに500年~800年かかるという研究結果もあります(※4)。なんと、1枚のナプキンは4枚分のレジ袋に相当するプラスチックを含んでいるのだとか(※5)。女性に生理が40年間、毎月5日間あると計算すると、一生で使う生理用ナプキンは 約11,000 枚!(※6) つまり、石油由来の素材で出来た生理用ナプキンを使い続けると、44,000枚ものレジ袋を消費することになります。
このような背景があり、持続可能な世界を目指して、サニタリー用品にプラスチック規制を課す国も出てきました。例えば、2021年7月30日より、欧州委員会はプラスチックが使用されているウェットシートおよび生理用品に統一ラベル表示を義務化。
このEUの対策は、環境の汚染、特に海洋汚染を防ぐために「使い捨てプラスチック製品」の削減を目的にEUが実施しているもの。また、アメリカのニューヨーク州(2019年)とカリフォルニア州(2023年)の2州でも、生理用品に全成分表示が義務付けられています。(※7, 8)
欧米の取り組みは、「脱プラ」とともに、ラベル表示を義務付けることで「女性の環境・健康意識を高めて、自分に合った製品を選べる“選択肢”を与える」ことではないでしょうか? 地球やからだにもっと意識を向けるーー。私たちの選択に“新しいあり方”が求められているような気がします。
【参考】
※1 https://www.asahi.com/sdgs/article/14494454
※3 https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S2214785321041365
※4 https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2666789422000277