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〈ニューバランス〉が考えるウェルネスのかたち

〈ニューバランス〉が考えるウェルネスのかたち

quiet voices notes. 01

New Balance Japan

Chapter 1  

 

日常に息づくウェルネスの輪郭

 

12年ほど前、前職でクリエイティブディレクターとプロジェクトマネジメントを担当していた頃の仕事をきっかけに出会った、〈ニューバランス〉と須藤紫音。当時マーケティング部門に在籍していた臼井氏、田中氏とともに、ブランドの世界観をどう伝えるかを模索するなかで、少しずつ信頼関係を築いていきました。

独立後に須藤が立ち上げた〈limerime〉の思想には、人々にスポーツを通してウェルビーイングを提案してきた〈ニューバランス〉からの影響が息づいています。

limerime〉ディレクター・須藤紫音が、毎回会いたい人をゲストに迎え、対話を通して価値観やものづくりの背景をひも解く本連載。第一回は、現在〈ニューバランスジャパン〉総務部で組織を支えるお二人を迎え、「自分らしく働くこと」を入り口に、ウェルネスというテーマを見つめます。

 

ミーティングルームの壁に飾られた、〈ニューバランス〉の中核的信条を示デザイン。

 

よりよく生きるための土台を整える

 

須藤:まずお伺いしたいのが、〈ニューバランス〉が考えるウェルネスについてです。現在、お二人は総務部に所属し、社員のケアにも関わられていると思うのですが、どのように捉えていらっしゃいますか。

 

臼井:私たちはスポーツブランドなので、スポーツを軸に社会をよりよくしていくという前提があります。ただその前に、社員自身がウェルネスを体現している状態であることが大切だと考えています。健康という言葉だけだと少し限定的になってしまうので、もっと広く、自分の生活とバランスを取りながら働けている状態、というイメージですね。

 

田中:働き方だけではなく、社員一人ひとりのライフスタイルも含めて捉えています。社内でスポーツをする機会があったり、自社製品を日常的に使ったり。特別なことではなく、日々の延長にあることを大切にしています。

 

臼井:これは会社として大切にしているコアバリューですが、誠実さ(INTEGRITY)、チームワーク(TEAM WORK)、顧客も社員も満足すること(TOTAL CUSTOMER SATISFACTION)といった考え方も含めて、結果的にウェルビーイングにつながっていると捉えています。

 

 

生活を起点に働き方を組み立てる

 

須藤:制度としても、ウェルネスを基盤とした考えが組み込まれている印象があります。なかでもフルフレックス制度は象徴的ですね。

 

臼井:一般的なフレックスタイム制とは異なり、コアタイムがなく、就業時間を個人で決められる制度です。出社時間もそれぞれに委ねられていて、生活に合わせて働けるようになっています。子育てや介護など、ライフステージによって必要な時間は変わってきますよね。そうした背景を前提に、働き方を調整できるようにしたいという考え方です。

 

田中:仕事に合わせて生活を組み立てるのではなく、生活の中でどう仕事を続けていくかを考えられる状態にすることが大事だと思っています。

 

須藤:生活をベースに働く、ということですね。

 

臼井:そうです。生活のリズムを前提にしながら、仕事でどうパフォーマンスを発揮していくか。制度はそのためにあるものだと考えています。

 

 

 

誰かの選択が空気を静かに動かす

 

須藤:制度が整っていても、実際に使われなければ意味がないとも感じていて。そのあたりはどのようにお考えですか。

 

田中:とても重要な点だと思います。制度を整えるだけでなく、なぜ導入されたのかをきちんと伝えることが必要だと考えています。どう使われるのか、どんな場面で役立つのかを共有することで、自分ごととして捉えられるようになると思うので。

 

臼井:実際に使っている人がいるかどうかも大きいですね。制度は使われてはじめて機能するものなので。男性の育休も、上層部が取得することで全体に広がっていきました。

 

須藤:実際にそういう姿を見ると、「自分も使っていいんだ」と思えますよね。

 

違いを前提にするという考え方

 

須藤:前職でご一緒していた頃、印象に残っているのが、臼井さんが長期休暇を取られたことでした。制度があっても取得しづらい企業が多い中で、実際に活用できる環境であることに驚いた記憶があります。

 

臼井:あのときは3週間ほど休みを取って、ロンドンに短期留学しました。学生時代にできなかったことをやってみようと思って。自分のためでもありますし、こういう使い方もあるということを後輩に示したかったというのもあります。 

 

 須藤:当時、私は子育てをしながら働いていて、同じ条件で成果を出さなければいけないという感覚が強くありました。でも、個々の背景を前提にした働き方が整えられているのを見ると、揃えるのではなく違いを受け入れるという考え方もあるのだと感じました。〈limerime〉では、誰かに合わせるのではなく、自分のからだや感覚に合わせて選ぶことを大切にしています。その点で、〈ニューバランス〉が目指している方向とも、どこか重なるものがあるように思います。

働き方を整えることは、効率を高めるだけでなく、一人ひとりの生活や感覚に目を向けることでもあります。では、その先にある「境界をほどく」という感覚は、どのように生まれていくのでしょうか。

 

後編のChapter2では、視点をさらに広げ、ジェンダーや社会との関係について見つめていきます。

 limerime quiet voices notes.01_Chapter2 は7月8日(水)公開予定

quiet voices notes. 01

<Guest> New Balance ニューバランス

1906年に、米国ボストンで矯正靴のメーカーとして創業したスポーツブランド。社名は、履いた人に「新しい(new)バランス(balance)」をもたらすことに由来する。鶏の足の骨格から着想を得たアーチサポートインソールを原点に、整形外科的知識に基づく高いフィット感と快適な履き心地で、世界中で愛されている。

公式WEB https://shop.newbalance.jp

公式SNS InstagramInstagram 

New Balance Japan   人事総務部 総務課 マネージャー

臼井 史彦さん Usui Fumihiko

Profile

〈ニューバランスジャパン〉に30年勤務。長年のピープルマネジメント経験を通して、社員一人ひとりがコアバリューを発揮できる環境づくりを大切にしている。プライベートでは、ハンディキャップと向き合う子どもの成長を見守りながら、公私ともに自分らしい生き方を実践。モットーは「自彊不息(じきゅうふそく)」。特技は居合道。

 

New Balance Japan  人事総務部 総務課 アシスタントマネージャー

田中 和加子さん Tanaka Wakako

Profile

大学卒業後、〈ニューバランスジャパン〉に入社。営業、マーケティングを経て、現在は人事総務部に所属。自身の病気の経験から健康や働き方への意識を深め、社員にとってより良い環境づくりに取り組む。学生時代から続ける水泳をはじめ、スポーツ観戦やアウトドア、音楽ライブ鑑賞が趣味。1児の母。

 

limerime ディレクター 須藤 紫音 Sudo Shion

 

photographs 坂本美穂子

edit + text 白﨑寛子