プロダクトが生まれるまで
「心地よさ」のつくり方
デリケートな毎日をともにするものは、
できるだけ心地よく、安心できる存在であってほしい。
肌やからだへの優しさ、選び続けたくなる佇まい、
そして使い終えたあとのことまで。
limerimeは、小さな違和感にも誠実に向き合いながら、
サニタリー用品のあり方を見つめ直すところから生まれました。
デリケートな肌に
天然由来素材の優しさを
limerimeのものづくりは、繊細な肌に長く触れても負担になりにくい、安心感のある素材選びからはじまりました。デリケートゾーンは角層が薄く、刺激を受けやすい部位。それにも関わらず、ナプキンの素材について深く意識する機会は、これまで多くなかったのではないでしょうか。
身につけているときの不快感は、湿気や摩擦、熱のこもりなど、いくつもの要因が重なって生まれます。そうした点をひとつずつ見つめ直し、刺激の少ない素材を選ぶことで、毎日の小さなストレスを少しでも軽くしたいと考えました。
トップシートに選んだのは、天然の竹由来繊維。竹は日本人にとって身近な存在として、暮らしの中で長く親しまれてきました。

技術に優れた工場の中から、納得できる生産先を厳選して採用。世界各国のサンプルや試作品を比較し、衛生管理や品質を自分の目で確かめたうえで、最適な肌ざわりのものを選びました。
竹由来繊維は通気性が高く、湿気がこもりにくいのが特長。蒸れやかゆみの一因となる静電気も起きにくく、しなやかな肌ざわりで、汗ばむ日でもベタつきにくく使えます。
さらに、石油由来の高分子吸収体に頼らず、吸収体には木製パルプを採用。天然素材の吸収力を生かし、肌と環境の両方に配慮した設計としました。

地域によっては増えすぎが問題視されている竹を、無理のないかたちで活用。サニタリー用品づくりに適した四川省の竹を選び、環境への負荷に配慮しながらトップシートに仕立てています。
不快感の理由を見つめて
たどりついた「ゆとり」構造
素材選びと同じくらい大切にしたのが、ナプキン全体の構造です。かゆみやかぶれなどのトラブルは、鼠径部など擦れやすい部分に起きやすいもの。流通するものの中には、表面素材は天然由来でも、ギャザー部分に化学繊維が使われている製品もあり、この構造自体が刺激につながる場合もあります。
そこでlimerimeでは、あえてギャザーのないフラット設計に。トップシートだけでなく、ショーツを包み込む羽根まで竹繊維で覆い、肌への当たりを均一に整えました。ふんわりと柔らかなつけ心地に加え、面で受け止める構造のため横幅にゆとりが生まれ、横漏れしにくい安心感にもつながります。

羽根まで天然由来のトップシートで覆ったフラット設計。段差が少ないぶん肌への刺激を抑え、吸収できる面積も広く保てるつくりです。
昼用ナプキンは、一般的なものより少し長めの設計。漏れは、ナプキンそのものよりも、クロッチ位置を基準に装着することで、わずかに位置がズレてしまうことが原因となる場合があります。そこで、下着のデザインを問わず安心して使えるよう、前後に余白を持たせました。石油由来の吸収体に頼らなくても、落ち着いて過ごせる構造を目指しています。
持続可能な未来は
快適さと利便性の先に
環境配慮も、大切なテーマのひとつです。多くのサニタリー用品には石油由来素材が使われています。製品差はあるものの、ナプキン1枚あたりのプラスチック含有量はレジ袋4枚分に相当するという試算もあり、一生涯で1万枚以上使うとも言われています。さらに、それらに含まれる石油由来のポリマーや焼却時のCO₂排出が、長期的な環境負荷につながる可能性も指摘されています。
limerimeでは、トップシートに竹由来繊維、吸収体に木製パルプを採用。ライナーのボトムフィルムやラッピングには、とうもろこし由来のBIOフィルムを使用し、外装にはリサイクル可能な紙箱を選びました。すべてのプロダクトで、環境負荷を抑えた素材選択を行っています。生分解比率は、パンティーライナーで約97%*、サニタリーパッドで約99%*。高水準を目指した設計です。
*残りの1〜3%は接着剤です。

旅先では必ず現地の生理用品をリサーチ。世界に目を向け、自然と手に取りたくなるデザインを探し続けています。
さらに、長い歴史の中で、隠すものとされてきたサニタリー用品を、ネガティブな存在にはしたくないという想いもあります。手に取るたび、気持ちが少し軽くなるような佇まいと、扱いやすさ。
そのために採用したのが、開けやすく取り出しやすい紙箱です。洗面所や部屋にそのまま置いても風景に馴染み、しまい込む必要がない。そんな小さな心地よさが、毎日の負担を軽くしてくれると思っています。ジェンダーに偏らず、暮らしと気分に自然とフィットする存在であること。それは、単なる装飾ではなく、社会との新しい関係性をつくる手がかりだと考えています。

クリエイティブの現場で培った経験を生かし、パッケージなどのディレクションとデザインも自ら手がけています。先入観にとらわれず、毎日に穏やかに溶け込む色を選ぶことを大切にしています。
肌に触れる感覚、装着時の安心感、暮らしの中の風景、そして使い終えたあとのことまで。それらを切り離さずに考え抜いた“理由のある選択肢”として、静かに寄り添う存在でありたいと思っています。
limerime ディレクター
須藤 紫音 Sudo Shion

profile
大学中退後に渡英し、現地でアパレル事業に携わる。帰国後は外資系アパレル企業にてVMD・マーケティング・店舗開発などを担当。リーマンショック後、出産・育休中にリストラを経験したことを機にフリーランスとして独立。クリエイティブディレクションとプロジェクトマネジメントを軸に、幅広い領域でブランド支援を行う。プライベートでは、息子の重度アレルギーに向き合うなかで、義姉を卵巣がんで亡くす経験も重なり、女性の健康課題や社会構造への問題意識を深める。2021年に株式会社VVVを設立し、資金調達を経て2023年にlimerimeをローンチ。1児の母。
photographs 坂本美穂子
edit + text 白﨑寛子